脳とラムネ

『無意味な嘘』





こんにちは、おはようございます。さて、何の話をしましょうか。じゃああの話をしましょう。これはある男が本当に体験した話です。やめよう。やめよう。こんな話したってどうにもならないじゃないですか。もういいですよ。だって全部嘘ですもん。どうして嘘つかなきゃいけないんですか?何なんですか?どうして没個性の一凡人の嘘なんて読むんですか?そうですよ。どうせ僕なんか凡人以下ですよ。何なんですか。もういいですよ。すいませんなんの話でしたっけ?あぁある男の体験した話でしたね。それでその話をやめようって話でしたね。いや、どうせだから話しましょうか。話しましょうね。うん、それが良いですね。

これはある男が本当に体験した話です。その男はどうして夕日が赤いかについて知りたがっていました。なのでいろいろな知人に、どうして夕日が赤いかについてたずねていました。ある人はそれは昔からそうだからそうなのだと言いました。またある人はあれは神様の血の色なのだと言いました。別のある人は日が傾くと日中に比べ光の入ってくる距離が伸び虹の七色が届かず少しずつ消えて最終的に赤が残るのだと言い、ある人は黒かったら夕日が見えないだろと言い、ある人はパイナップルが好きでした。僕はいっぱい食べると口の中が痺れるけれどそういう所も含めて好きです。しかし男はそれらの答えに納得できませんでした。

レミングという生物は個体数が増えすぎると海へ飛び込んで集団自殺をするという話は有名ですが、それ以上に有名なのが人間は食べ物を食べないと死ぬということです。これは寝ないと死ぬや水を飲まないと死ぬ等に並んで有名ですが、人間にも食べられないものがあるというのはあまり知られていません。なので男はいろいろな物を食べました。食べていくうちにどうして夕日が赤いかについての疑問が消えてそうになり、その為にさらに多くのものを食べるという一種のジレンマに落ちいりました。そうして気がつくと男は太っていました。男は太りに太って丸くなりました。ある日男はそんな自分の姿を見て思いました。まるで僕は夕日のようじゃないかと。ごめん、嘘。そういう話じゃない。

男は太ってしまったので死ぬことにしました。しかし死に方がわからないのでやめました。なので進化することにしました。けれども進化するには八つの秘宝を手に入れなくてはいけなかったので、これもやめました。そうして気がつけば一ヵ月後には男はガリガリに痩せていました。どうして一ヶ月後には痩せていたのか、これは今もって謎に包まれています。この謎は永遠にわからないかもしれません。しかしこの世に永遠というものはありません。いつの日かきっと誰かがこの謎に挑戦し、その秘密を解くでしょう。そしてその謎を解くのはあなたかもしれません。それはそれとして痩せた男は元気でした。とても元気だったのすぐにバテてしまいました。なのでどうして地面はあるのかという事が気になりました。しかしバテた男は先ほども言ったように記憶をすべて失っていたので知人もいず、どうして地面があるのかという疑問を聞く人がいませんでした。なので男は自分で考えることにしました。そうして男は餓死しました。短い人生でした。

しかしなんと男は死んでいませんでした。生きていたのです。奇跡です。ありえないことです。ありえないことなので、やっぱり男は死んでいました。しかしなんと男は死んでいませんでした。なんと餓死したと思われた男は実は毎日ちゃんと食べ物を食べていたのです。これを奇跡といわずとして何を奇跡というのでしょう?男が生きていたという事実に世界中が歓喜に沸きました。しかしただ一人だけが生きていた男は前の男とは違う人物であると言う事に気がついていました。けれどそれについてはこの物語となんら関係も無いのでこれ以上話しません。とにかく世界が歓喜に沸いたので男はがんばりました。何をがんばったのか、これは今もって謎に包まれています。この謎は永遠にわからないかもしれません。しかしこの世に永遠というものはありません。いつの日かきっと誰かがこの謎に挑戦し、その秘密を解くでしょう。そしてその謎を解くのはあなたかもしれません。とにかくこれを機に男はがんばりました。そしてがんばった結果がこの様です。やってられません。

そう言う訳で男は旅に出ました。それはあての無い旅でした。東へ行って西に行って北へ行って南に行きました。そして結局元居たところへ戻ってきました。男は結局ここへ戻ってきてしまったのだなと自嘲気味笑いましたが、一度死んだことによりすべての感情が欠落していたので笑いませんでした。あとよくよく考えたら旅にも出ていませんでした。あとがんばりもしませんでした。それに死んでもいませんでした。痩せもしませんでした。太りもしませんでした。パイナップルもそんなに好きではありませんでした。むしろ皮を剥くのが楽なので蜜柑が好きです。すべては儚い夢だったのです。それでも男は人助けをやめませんでした。その姿に世界は涙しましたが、一度死んだことによりすべての感情が欠落していたので涙しませんでした。そういうわけでこの後どういう話なのかを忘れました。あ、思い出した。うん、続けるよ。

男は人助けをする夢を見ていました。夢の中で男は人助けをしていました。男は他にも意見が食い違ったり怒られたりする夢も見ました。だから何ですか?とにかく男はどうして鳥は飛ぶのだろうかということを、どうして自分は疑問に思うのだろうかということについて考えたのです。その結果自分は少し普通の人と違った思考形態をしているのだと気がつきました。しかしこの世の中にまったく普通の人というのはいません。皆どこか普通とは少し違うものです。なので男は安心しました。そこで男は安心とは何かについて考えることにしました。

安心とはいったい何か、その答えは日本のちょうど反対側、地球からたった4.22光年、太陽に最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリにありました。暑くていけなかったので結局男は安心とは何かはわかりませんでした。ここで、男の半生に触れておきましょう。男は生まれました。その後いろいろありました。そして今に至ります。今といってもこの物語の中の今です。この話が語られるずっとずっと前にすでに男は神に等しき存在へと退化しています。していマッスル。うーんとね。あの、実はさぁ。さっきどんな話だったのか忘れたけどその後すぐ思い出したって言ったじゃん?実は思い出してなかったんだよね。どんな話だったか。ごめん。今思い出したわ。本当にごめん。さっきから今までのところ無しね。

男は人助けをやめませんでした。それは世界への奉仕の為であるのと同時に、自己の存在を証明するためでした。どうして人助けが自己の存在を証明するのかはわかりませんでしたが、男は来る日も来る日も人助けをし続けました。人を助けて、人を助けて、人を助けて、助けて、助けて、そんなある日男は気がつきました。男が人だと思っていたものは実は公園のゴミ箱だったのです。男は愕然としました。それはそうでしょう?考えても見てください。あなたが人だと思っていたものが実は公園のゴミ箱だと知ったらどう思います?わからない?あなたは共感能力が無いんですか?とにかく男は愕然としたので愕然としました。それはそれは愕然としました。どのように愕然としたかというと、愕然としたとしか表現ができないような愕然の仕方でした。とにかく愕然としたので、男は愕然としないようにしました。一体どうやって愕然としないようにしたか?これは別に秘密ではありません。それはいたって単純な方法でした。単純なのでここでお話しするのもどうかと思いますのでやめておきますが、その方法で男は二度と愕然とすることは無くなりました。

それはそれとして男は宇宙人に会いました。その宇宙人は遥か遠く遠く人類が一生をかけても決して行くことのできない距離、地球からなんと1光年もの距離にある惑星、ナンニモイイコトノナイジン星(あくまでその星の言葉で、日本語では地球と同意)から男に不老不死をあげる為にやってきたのです。どうして男に不老不死をあげるのか?それは宇宙人がナンニモイイコトノナイジン星で大金持ちだからなのです。大金持ちで大金持ちでお金が余ってしまって誰かにあげたいのだけれどナンニモイイコトノナイジン星ではすべての人が大金持ちなのであげる人がいない。じゃあ発展途上惑星の為にお金のかかる不老不死をランダムに選んだ人にあげて優越感に浸ろう!そうして選ばれたのが男だったというわけなのです。アフリカに食料でもやってろブタ野郎。(別にナンニモイイコトノナイジン星人がブタに似ているわけではありません。性格的な意味です。いっぱい食べるという意味ではありません。卑しいという意味です。)

しかし男はそれを断りました。男はこれ以上何にもいいことのない人生(これはナンニモイイコトノナイジン星語で地球の意味ではなく日本語で良いことが何一つ無い人生という意味です。)を延々と続けるということを想像しただけで吐き気がしたからです。けれども宇宙人もお金を捨てにせっかく地球までやってきたのです。おいそれと帰れません。だからアフリカに食料でもやってろブタ野郎。(ナンニモイイコトノナイジン星人はブタよりはむしろミジンコに似ています。大きさではなく見た目がです。あとさっき言った卑しいというのはお金を使って優越感に浸ろうとする根性が下品だという意味です。)しかたが無いので二番目にお金のかかる空を飛ぶ薬をあげると言いました。男はそれならと納得して薬を貰い、宇宙人は男の家に公園に置いてあるような大きなゴミ箱があったのでなんとなくそれを盗んで帰りました。

そうして男は空を飛ぶことができる様になりました。それはそれはすばらしい体験でした。男はそのすばらしい体験を今まで知らなかったことに愕然としました。それ程すばらしかったのです。しかし不運は突然やってきました。それは不運というよりも不幸といったほうが適切なのではないかと思うほどの不運だったのでしょうか?とにかく不運が100人のお供を従えて世界を征服にやってきたのです。不運と100人のお供に人間たちは力の限り立ち向かいましたがまったく歯が立ちませんでした。なぜならば不運と100人のお供は実は人間が使った恐ろしい兵器達の霊だったのです。それはあまりに悲劇的な出来事でした。楽しさに時間を忘れて飛んでいたせいで薬が切れてしまい地面に落下してしまったのです。高度45000mからの落下。パラシュートなんてありません。地面はどんどん近づいてきます。一体そんな時に人間に何ができるでしょう?何もできません。男の体は地面にたたきつけられ、男の体はバラバラに砕けました。だがしかし男は死んでいませんでした。

ぶつかったはずみで魂が入れ替わってしまうなんていうお話は虚構の中では割りとベタなので皆さん一度は聞いたことがあるでしょう。この虚構の中ではベタだけれど現実では決して起こりえない出来事が男の身に起きました。つまり地面と魂が入れ替わってしまったのです。男は愕然としました。人間から地面になったのです。誰だって愕然とするでしょう。しかしもっと愕然としたのは元地面です。気がついたら全身が痛くてその5時間後には息を引き取ったのですから。それはもう元地面は天国で愕然としました。愕然としすぎてむしろ

男は地面になったと気がついた時、先程も言いましたがそれはそれは愕然としました。しかし少しすると地面というものはそんなに悪いものではない、むしろ人間の時より良いのでは無いかということに気がつきました。痛い思いも嫌な思いもしない。何かを知る必要はないし何かを考える必要も無い。ボーっとしているだけがすべてでありそれ以外には何も必要無い。男にとってそれはまさに天国でした。その頃、元地面は比喩的な意味合いではなく天国にいました。そして男を呪い殺そうとしていました。しかしこの世に呪いなどという非科学的な物は存在せず男は呪いになんてかかりませんでした。余談ですが男はどうして地面があるのか?という疑問の答えがわかる状態でしたが前述の通りその事を疑問に思った男と、地面になった男は別人だったので男はその回答を得ようとしませんでした。なのでどうして地面があるのかという問題の答えは今もわかっていません。

地面は不老不死でした。その証拠に男は地面のまま1億年近く過ごしました。その間に地球に直径50kmの巨大隕石が落ちて人類を含む生命の9割以上が滅びましたが男は何も感じませんでした。しかし幸せは長くは続きませんでした。地面になってから一年、その生活は突如終わりを告げました。スカイダイビングが趣味の女性のパラシュートが運悪く開かず、彼女は地面と衝突してしまったのです。そして男が地面に叩きつけられた時と同じことが起こりました。そうです。魂が入れ替わってしまったのです。

男は(女性の体は)病院に運ばれ一命を取り留めました。これを知った天国の元地面は大変憤慨しましたが死人にできることは何もありませんでした。この出来事により男はルーシー・ブラウンと言う76歳の女性の(76歳という老婆の体がなぜ大丈夫だったかと言う疑問を皆さんは抱くでしょうが物語とは往々にしてこのようなご都合主義によって構成されている物なのです。)名前とボロボロの肉体、男の知らない今までの人生とその後人生。いくらかの土地とまぁ住み心地の良い家の権利と銀行に預けてあるそんなに多くない額のお金。それと地球の女性では始めて、宇宙中の女性では42.5人目に(雌雄両性体を0.5と数えているので実際は45人目)放射性粒子結合ダイヤモンドというゲームをした人物としての名声と合衆国国籍を得ました。ちなみに不幸なルーシー・ブラウンさんは地面になった瞬間発狂しました。

それだけのものを得たのは良いのですが、地面から人間に戻ったことへの恐怖と英語が話せなかったのでどうしたら良いのかわからなくなった男は地面になったルーシー・ブラウンさんと大差の無い状態になりました。そして病院の窓から飛び降りました。もう一度地面にぶつかれば地面になれると思ったのしょう。しかし4階から飛び降りただけの衝撃では魂は入れ替わらず、この間まで死に掛けていた76歳の老婆の体はやすやすと壊れてしまいました。そうして今度こそ男は完全に死にました。

そうして神と融合した男は現世に赴き7日7晩地上を浄化と言う名の元に焼き払い、さながら地獄絵図を作り出しました。人間がすべて死に絶えた後、神となった男は地上を無人の楽園に変え土から一人の男を作りました。この男こそがアダムであり、後にこの男の肋骨から生まれるのがイブです。嘘です。最初からここまでそしてこれからもすべて嘘です。私はあなたに嘘をつくためにこの汚い文章を書いたのです。しかしあなたは私が嘘をつくためにこの汚い文章を書いたことを知っていました。そしてあなたは最初から最後まですべて嘘だとわかっていながらこの汚い文章をここまで読んでくれたのです。あぁなんと心の優しい人でしょう!ありがとうございます!ありがとうございます!!生きていて良かった!

そういうわけで時間と空間は常にひとつであり僕らが生きるのを手伝ってくれています。だって天上神と破壊神は常に僕の心の中にいるんですもの。そうなんです。世界はいつだって群青色。嘘ですとしかしとだがとけれどもばかりなのは周知の事実なんです。もしかしたら明日は誰かの父親が自分は鶏ガラスープと結婚していたんだと告げるかもしれませんし告げないかもしれません。それが一体なんの野菜スープなのでしょうか?だって世界はいつだって黄土色なんですから。どんなに世の中が発展したってポタージュスープなんです。それだけがさようならの吹き溜まりと掃き溜めに関する夢のような心なのですから。どうして僕は文章を書いたのでしょうか?その答えはきっとありません。だっていつだって星たちはマネキンの裸にドキっとするし現実的な問題を無視してそれを肴にしてお酒を飲むのだから。それを知った時あなたは一体どこの馬の骨なのでしょうか?それだけが僕と私の間に交わされた約束のひとつなのかと世界遺産はおもっていたのかもしれないと君は言ってくれていたという記憶は本物と証明することはできるのでしょうか?さようなら明後日さようなら木曜日さようならタオルケットさようならヨモギの葉っぱさようならさようならさようならまたいつの日か会いましょう。そしてもう二度と会わないようにしましょう。さようならさようなら。こんばんは、そしておやすみなさい。くたばりやがれ。

以下蛇足。

そうして、死んだ男は地獄にいました。それはそうです。男は人助けを一度もしたことが無いにも関わらずお茶碗に残ったご飯粒を残したことが何度もあったのですから。男は地獄でパイナップル農家を始めました。男の作ったパイナップルは蜜柑の味がすると大評判で近々現世でも発売される予定。お買い求めはお近くのスーパー、コンビニで。さようなら。